旧閑谷学校で学び継がれ、現在の和気閑谷高校でも日々生徒が朗誦する論語は、孔子の言葉や弟子たちとの真摯な対話を、その弟子たちがまとめたもの。釈菜は孔子の遺徳をたたえる儀式です。
孔子像の安置された孔子廟での「大成殿の儀」に続き、講堂での論語講義「講堂の儀」、お供えされた食物を分け合っていただくことを元にした「分胙(ぶんそ)の儀」(昼食会)で構成されますが、ここでは大成殿の儀を紹介します。
扉の内に孔子像を安置した厨子を開くところから儀式ははじまります。お供え物をし、香を焚き、お酒を供えてご挨拶をし、詩を捧げる。その後に、参列者が孔子像に敬拝するというのが大きな流れ。このようにして、論語に学ぶ者たちが学祖の徳を敬い、感謝するのです。
ここからは、大成殿の儀の写真(一部リハーサル時)とともに流れを見てゆきましょう。
・儀式の始まり

太鼓とともに来賓が入場

祭官は手を清めて堂の外に整列します。
・進行役(掌儀・賛・司尊)が厨子を開き、敬拝の場を整える

掌儀・賛・司尊が中庭を通り堂に入場。

厨子を開きます。

お供え用の机を設置し、

香炉と香合の置かれた台の蝋燭に火を灯します。
・5人の祭官(執事)がお供えをする

お供えするのは棗、蕪、栗、筍、鶏肉。中国では、生贄として羊などの動物を捧げるという伝統もあり、閑谷学校の孔子廟にも繋牲石という牲を留めおくための石柱が建っています。

これで敬拝の準備が整いました。中庭の外で待ちます。
・祭官が全員、中庭に入る

はじめて祭官全員が中庭に入り、礼から敬拝に移ります。
・掌儀がお供えや祭器を点検
・祭官の長(献官)が香を焚く
献官が手を清め、掌儀、賛を従えて堂に上り、敬拝。香を焚きます。
・献官が酒器を洗い、酒を供える
・言上担当の祭官(祝(しゅく))が孔子に開会を告げ、捧げる言葉(祝(しゅう))を読む

祝が堂に上がります。階段を上がるときは、孔子像から遠い方の足(東階は右足、西階は左足)から上がります。

祝版架(祝の書かれた祝版用の台)を献官の足元に置き、献官の代理として祝を読み上げます。その後、献官、賛、司儀は東階より、祝は西階から堂に戻ります。
・祝が孔子に詩を捧げる

祝のみが再び堂に上がり、献詩をし、堂から下がります。ここで献じられる漢詩は、毎年応募作品の中から選ばれたものが読まれます。
・参列者が孔子を敬拝

閑谷学校顕彰保存会の会長はじめ、参列者の代表が敬拝します。
・祭官が退場する

これで敬拝は終了です。相対して礼をし、祭官は全員中庭から退場します。
・お供えを下げる
・厨子を閉じる

掌儀と賛が扉を閉じ、蝋燭の火を消します。
・祝(しゅう)の書かれた紙を燃やす

執事の持ってきた器を受け取り、祝は祝文を燃やします。燃えきったら執事が厨に戻します。
・参列者全員の礼をもって終了

全員堂から下がり、中庭を通って外に整列します。
参列者一同の礼をもって儀式は終了です。
以上長い長い記事となりましたが、この大成殿の儀は45分~50分間ほど。本校の生徒会の代表も参列し、伝統を受け継いでいます。
この後、釈菜は講堂の儀、分胙の儀が続きます