続いて、卒業生代表の答辞を紹介します。3年間の思い出、成長、感謝、そして後輩への想いが記されています。
―――――
答辞
厳しい冬の寒さも次第に和らぎ、吹く風にも春の気配が感じられる季節がやってきました。そして、この今日の良き日に、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、私たちのために厳粛かつ盛大な卒業式を挙行していただき、ありがとうございます。卒業生を代表して心よりお礼申し上げます。
思い返せば、希望と不安を胸に抱えながら、校門をくぐってはや三年。あっという間でしたが、たくさんの思い出が今でも鮮明に蘇ってきます。
三年前の春、真新しい制服に身を包み、和気閑谷高校に入学しました。入学式の前にクラスごとに並びましたが、近くに中学校からの友達がおらず不安だった私に、隣の列にいた二人が話しかけてくれたことを今でもよく覚えています。それからすぐに行われた閑谷合宿は、早起きをして勉強に取り組んだり、みんなで校歌を歌ったりしました。勉強では、同じ机に座った友達と二人のグループで意見をやり取りしたことをよく覚えています。そのとき一緒のグループだった子と同じクラスになったとき「そういえば同じグループだったよね」と一緒に思い出し笑いをしたこともまたいい思い出です。校歌のクラス対抗合唱大会では、練習方法に迷ってしまって少し言い合いになってしまうときもありましたが、話し合ってよりよい練習方法を考え、合唱をしました。歌い終わった時の達成感は今でも忘れません。
一月に行われたウォーキング大会、寒さと足の痛みと闘いながら山頂を目指しました。途中で友達と「もう下りちゃおうよ」と冗談交じりに会話したり、「あそこの木にどっちが速くつけるか競争しよう」とゲームをしたりすると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。登りおわった後の豚汁は、寒さと疲れもあったけれど、一緒に目標を達成したみんなで食べたので、何倍も美味しく感じました。初めての体験ばかりで、毎日が忙しく感じた一年生。友人と協力してやり遂げることの大切さを学びました。
二年生の修学旅行、友達との初めての旅行でしたが、最高に充実した四日間を過ごすことができました。中でも印象に残っているのが、大自然の中の急流を下っていくラフティング体験です。山奥の青々とした木々の中を通る清流は、本当の自然の美しさを感じさせてくれました。少し濡れてしまった人もいるようですが、それもまたいい思い出として記憶に残っています。他にも、関東コースではディズニーリゾートや東京スカイツリー、北海道コースでは旭山動物園や白い恋人パークなど、それぞれの場所で思い出作りをすることができました。
そのほかにも、中心学年として部活動や委員会活動のリーダーを任されるようになり、まわりを引っ張っていったり、まとめたりといったことが多くなりました。ときには、友達と意見がぶつかり合ってケンカになってしまったことや、他のメンバーとの連携が上手くいかなくて悩むこともありましたが、仲間一人ひとりが自らの得意分野を生かしながら協力することで、納得のいく活動ができたように思いました。学校生活にも慣れてきて、任されることの責任も大きくなった二年生。自分が担う役割の大切さについて学びました。
三年生になると、進学や就職に向けて動き出す人も多くなってきました。そのような中で迎えた最後の楷楓祭。入試が間近に迫っているというのに、弱音も吐かずにクラスの準備を手伝ってくれたこと。夏休みにもかかわらず、登校して応援幕の制作をしてくれたこと。そのほかにもたくさんのことを手伝ってくれました。そのおかげで、納得のいく楷楓祭となり、最後の締めくくりにふさわしいものとなりました。
それからは、進路実現のために自分との戦いの日々が続きました。進学先や就職先の下調べをしたり、志願理由書を書いたりなど、毎日頭の片隅で進路のことを考えていました。挫けそうになったり、あきらめかけたことも何度もありました。そんなときは先生がおっしゃった「進路実現は一人での戦いではない。団体戦だ。」という言葉を思い出すことで、クラスのみんなのためにも頑張ろう、という気持ちになりました。そして当日、いつになく緊張していましたが、面接の直前までみんなからもらったメッセージを何度も読み返し、「自分ならできる」と気持ちを奮い立たせました。試験は合格、無事志望校に受かることができました。私たちはこの時期を通して、自分で考えて動くこと、主体性を身に着けることができました。
在校生のみなさん、先ほどは心のこもった温かいメッセージをありがとうございました。私からみなさんに伝えたいことは、後悔をしないように一日一日を過ごしてほしい、ということです。私は、この高校生活でたくさんの後悔をしています。小さな後悔から大きな後悔まで、すべて挙げるときりがないほどです。それは、自分がしたいこと、やりたいことを行動に起こさなかったからだと思っています。だから、みなさんには後悔をしないように、やりたいと思ったことは行動に起こしてください。それは、たとえどのような結果になったとしても、自分にとっての経験になり、成長に繋がります。高校生の時期は特に、多くの経験をして学んでください。そうすることで、視野が広がり、将来の可能性の幅が広がるはずです。よりよい進路実現に向けて頑張ってください。
三年間を共に過ごしたみんなへ。初めて会ったときはこんなに仲良くなるとは思っていませんでした。時にはケンカをしたこともあったけれど、いつの間にか仲直りをしていましたね。ほかにも、私が一人で悩んでいるときに、誰よりも早く気づいてくれて声を掛けてくれたこと、私の話を親身になって聞いてくれたこと、たわいもない話で笑いあえたこと。みんなと過ごした三年間だからこそ時間があっという間にすぎてしまいました。楽しい幸せな時間をありがとう。これからは、それぞれが違った目標を目指していきます。今までのように一緒に過ごすことはできませんが、みなさんが幸せに過ごせていることを願っています。また会う機会があれば、その時は笑顔で会いましょう。
三年間支えてくださった先生方、今までしたことのなかった経験をすることができたのは、先生方のバックアップがあったからです。そのおかげで、私たちは人として大きく成長することができました。この学校に来て、先生方に出会うことができ、本当によかったです。今までありがとうございました。
私たちを一番近くで見守ってくれた家族へ。家族の支えがあったからこそ、今の自分があると思います。いつも感謝しているけれど、なかなか言えないのでこの場をお借りして伝えたいと思います。お母さんとお父さんの子どもに生まれてよかったです。これからも迷惑を掛けてしまうかもしれないけれど、よろしくお願いします。
私たちはこの三年間で、さまざまな経験をしてきました。いろいろな方々と出会い、成長していく過程で、自分のあるべき姿を見つけられたような気がします。この学校に来たことによって、自分を変えるきっかけを与えてくれた先生方に出会うことができました。さらに、共に信頼し合い、これからも一緒にいたいと思える友人にも出会うことができました。
この学校に来て本当によかったです。ここで得た三年間を糧に、これからは自分で選んだ道を目標に向かって精一杯頑張って生きます。
最後になりましたが、本日私たち一三九名の卒業式にご出席くださいました、すべての皆様方の健康とご多幸、そしてこの伝統ある和気閑谷高校のますますのご発展をお祈り申し上げ、卒業生を代表して答辞といたします。
平成二十八年三月一日
岡山県立和気閑谷高等学校 卒業生代表
延原梨奈