第5回「こくさいフォーラム in Wake」

10月23日(日)、第5回の「こくさいフォーラム in Wake」を開催しました。岡山大学の留学生3名(バングラデシュ、ベトナム、イラン出身)を招いて、母国紹介と食文化についてのワークショップで交流を深めました。

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母国紹介では、生徒は3グループに分かれて留学生のテーブルを廻って、それぞれの国や文化についての紹介を受けました。

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特に「食」については、宗教などによる食のタブー、特別な行事の際の風習、国による調理方法の違いなど、興味深い話をたくさん聞くことができました。生徒は “What ( ) do you like ?” や “What is your favorite ( ) ?” 等の例文を参考に予め用意した質問をしながら、少しずつ関係を深めていきました。

後半は留学生と生徒がチームになって「海外版お弁当作り」ワークショップを行いました。

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食文化について詳しく聞き出しながら、自分たちでテーマを決めてお弁当のメニューを考え発表しました。

  • バングラデシュチーム
    『日曜日のピクニックでワイワイ食べるお弁当』
おにぎりの具もおかずもみんなの好物を詰め合わせ。カレーもチキン、マトン、フィッシュ、野菜の4種類。ナンで食べた後はカレーうどんにもできるよ。ハラールについても教えていただきました。

おにぎりの具もおかずもすべて家族の好物を詰め合わせました。カレーもチキン、マトン、フィッシュ、野菜の4種類。ナンで食べた後はカレーうどんにもできるよ。ハラールについても教えていただきました。

  • ベトナムチーム
    『TET(旧正月)のお祝いランチ』
ベトナムのお正月には欠かせないちまきをメインにしたお祝いのランチをイメージしました。

ベトナムのお正月「テト」に欠かせないちまき(バイチュン)。バナナの皮の上にモチ米、緑豆のすりつぶし、豚肉を入れ、包んで蒸します。これをメインにした色とりどりのお祝いのランチをイメージしました。

  • イランチーム
    『あなたと私のお弁当』
Arastooさんは宗教上の理由で豚肉やアルコールは食べられません、その他にも肉や魚について様々な決まりを教えてくださいました。今回は彼の好物のツナマヨ、スクランブルエッグをメインにミックスサンドを作りました。

宗教上の理由で豚肉やアルコールは食べられません。その他、肉や魚についての決まりを教えてくださいました。その中で大好物のツナマヨ、スクランブルエッグ、パイナップルをメインに「楽しめるミックスサンド」を作りました。

 

生徒の感想より

  • 目を見て話を聞くことや分かったことがあったらうなずいたりして相手とのコミュニケーションを図ることが大切。自分が相手のことで分からないことや知りたいことがあったら積極的に質問することで距離が縮まると思う。また、言葉がすべて理解できなくても聞こうとしている、分かろうとしているという姿勢や意志を相手に伝えるようにしていきたい。
  • 同じ麺料理でもベトナムの麺料理は米からできている、ベトナムの中でも北が辛いもの、南があまり辛くないものが多いなど、国や地域によって食は多様で、それが生活様式やしきたりとも関わっていることにあらためて気づかされた。
  • 将来、日本に旅行や出張に来たムスリムの方と食事をすることもあると思うので、そのときに困らないようにおもてなしの仕方、イスラム文化、ハラール食品など、ちゃんと知りたいと思った。

第4回「こくさいフォーラム in Wake」

9月25日(日)、第4回「こくさいフォーラム in Wake」を、「コトバが無いとどうなる?~コミュニケーションの取り方を考える~」をテーマに開催しました。

最初に、英語ワークショップ「Paper Tower」(説明と進行はすべて英語)を行いました。A4用紙だけを使ってできるだけ高いタワーを作ります。

チーム内の戦略が理解し合えると、ハイレベルの競い合いになります。

チーム内で戦略が理解し合えると、ハイレベルの競い合いになります。

残り30秒の大逆転でこのチームが優勝

残り30秒の大逆転でこのチームが優勝!

チームとして機能するためには、英語を理解し不明な点はチーム内で解決する、目標を共有し一人ひとりが方法を考える、出された意見を整理する、役割分担を含めて戦略を練る、といった “コトバを使った” コミュニケーション力が必要ということを改めて実感しました。

次は「バーンガ」を行いました。

実は、最初のグループごとでルールが違っています。すべて無言でやり取り。ルールもグループごとに説明書で指示しています。

すべて無言でやり取り。実は、最初のグループごとでルールが違っています。ルールもグループごとに説明書で指示しています。

すべて無言です。グループに分かれカードゲームをした後、メンバーをシャッフルします。実は、最初のグループごとでゲームのルールが異なっています。グループを移動した人、他のグループから迎えた人、ともに「?????」の連続です。それを無言の状態でどう解決していくか。さらに2回目、3回目とメンバーをシャッフルしていくと…。

異文化に出会ったとき、言葉が通じないことや習慣の違いなどから大きな不安が生じることがありますが、実は、これは身近なところでも起こります。例えば、新しいクラスになったとき、進学や就職で新しい土地へ行ったとき…、知らず知らずのうちに身についていた “常識” や “ルール” が通用しない場面に遭遇したときどのように感じどのように対処・適応するか。自分のコミュニティに新しい人が入ってきたとき、その人に自分達のルールをどう伝えるか、理解してもらえなかったり反発を受けたとき、どう対処するか。これを疑似体験するのが「バーンガ」です。

今回の体験を通して、コミュニケーションを取りお互いに理解し合うことの重要性とともに、一人ひとりの価値観を尊重するとともに、言語や生活様式や文化の多様性を尊重し、平和的に共生することの必要性や価値に気づき、それを実現しようとする態度を育ててもらいたいと思います。

 

第3回「こくさいフォーラム in Wake」

今年度、和気閑谷高校は、グローカル人材の育成を目指した「Wake “恕” up プログラム」を展開しています。先日報告した韓国Okcheon(沃川)高等学校訪問交流もこのプログラムの一環です。

また、国際理解講座「こくさいフォーラム in Wake」を、次のように開催しています。

  • 第1回(  5/29)「留学生と交流~和気町フォトラリー~」
  • 第2回(  6/12)「SDGsをゲームで体験し2030年の世界を考えよう」
  • 第3回(  7/17)「英語ワークショップ&世界の教育の現状を考えよう」
  • 第4回(  9/25)「英語ワークショップ&コトバが無いとどうなるの?」
  • 第5回(10/23)「留学生と交流~世界の食文化を考えよう~」
  • 第6回(11/26)「2030年の理想の和気町を描こう」

第1回、第2回の様子はこのブログでも報告していますので、第3回以降について順次報告していきたいと思います。

★第3回「こくさいフォーラム in Wake」

7月17日(日)、第3回「こくさいフォーラム in Wake」を開催しました。テーマは「世界の教育の現状を考えよう」です。第2回のフォーラムでSDGsについて学びましたが、SDGsの17目標の中で参加者の関心が大きかった「教育」と「貧困」について学びを深めました。

最初に、世界の教育の現状について英語クイズで学習しました。小学校に通っていない子どもの数とその理由、読み書きができない大人の数、など、想像を遙かに超える現状に驚きを隠せませんでした。また、実際に文字が読めないことでどんな不利益を被るかを全員で体験し、なぜそうなったかについて意見を出し合いました。

付箋を使って考えました。

付箋を使って考えました。読み書きができない→安定した職業につけない→収入が少ない→教育を受けられない→読み書きができない→…この連鎖を教育の力で止めたい!

次に、世界の教育に必要な援助と軍事費との比較、日本が行っている教育分野への援助の現状について学習し、最後にマララ・ユスフザイさんのスピーチを聞きました。

One child, one teacher, one pen and one book can change the world. Education is the only solution. Education First.
(1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーション・ファースト。)

参加した生徒へのアンケートで「世界中の子どもが学校に通えるためにあなたが “大切だ” と思うことは?」について、上位から、

  1. お金や物などを集めて教育に関わるNGOなどに寄付をする
  2. 世界中の子どもが学校に通えるように日本の政府に働きかける
  3. 教育の大切さや途上国の暮らしについてもっと調べてみる

となりました。生徒の感想には、

  • 世界の教育環境は過酷なんだということが分かってきた。私たちができること、ボランティアや世界への援助寄付が必要と改めて感じた。
  • もっと他の国のことを調べてそれぞれの国の手助けになるようなことをしたいと思った。今日の授業をきっかけに世界について考えたいと思った。
  • 世界の教育についてもっと調べてみたいと思った。自分ができることを探してみようと思った。

など、世界の抱える課題を自分の身近なこととして考える記述が多くあり、ESDのキーワードの一つ「つながり」を意識できていたと思います。

346年目の創立記念式典を行いました

毎年10月1日に行っている創立記念式典ですが、今年は土曜日にあたったため、3日の月曜日に式典を行いました。校長先生の式辞から紹介します。

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先週の金曜日、9月30日に韓国の高校と交流をして参りました。韓国は飛行機で1時間半ほどの距離です。飛行機で東京なら1時間ほど、北海道なら2時間ほどですから、最も近い隣の国です。

今回の目的は、論語やボランティア活動等を共通の話題にして国を超えて話し合ったり、学び合ったりするしくみをつくることです。今回は4人の生徒代表が参加してくれました。予想以上に歓待を受け、将来はもっとたくさんの生徒のみなさんが交流する機会を持てるようにしたいと思っています。

さて、そこでお話しした本校の紹介は次のような内容でした。創立記念日にあたり、みなさんにこの学校の一員として自覚と誇りをもって生活していっていただきたいと思います。

本校は、士農工商(役人・農民・職人・商人)という身分制度の厳しかった江戸時代の1670年に、庶民も学ぶことのできる学校として日本で最も古くに創建された閑谷学校をルーツに持っています。今年で346年めになります。

閑谷学校には岡山藩の内外から村役人をはじめ、農民や医者、武士といったいろいろな身分の人たちが学びに来ました。閑谷学校は、当時から幅広い人々に開かれた学校でした。閑谷学校は、「性相近きなり。習い相遠きなり(人のもともとの素質にはそれほど個人差はない。ただ、後天的な習慣・学習によって距離が生じ、遠く離れる。)」という論語の言葉にあるとおり、誰もが等しく大きな可能性を持つということを学校の理念に据え、人格や学力を磨き、立派な人間を創ってきました。

本校は、今から50年ほど前に、閑谷にあった校舎といま和気にある校舎が統合されて和気閑谷高校として再出発しました。普通教科を中心とした普通科と、商業科や福祉科等の専門教科を学ぶことができるキャリア探求科と、2つの学科があり、今も多様性を大切にして学び合っています。そして、現在も「論語」を在り方生き方の鑑として活用できるように毎朝一章句各学級で朗誦してから始業しています。

貴校との交流を通して、生徒たちが「仁」や「恕」の心を持った地球市民として広い視野で考え、自らの住む地域に貢献することができる人になってほしいと期待しています。

以上が本校の紹介でした。

これが和気閑谷高校です。しかし、在籍しているから和気閑谷高校生だというのはうわべだけの話になります。真に和気閑谷高校生となるためには、以上の歴史を踏まえて「仁」や「恕」の心を実践してこそ本物の和気閑谷高校生です。みなさん、いっしょに人格を磨いて参りましょう。

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式典に先立つ論語朗誦は「子曰、性相近也。習相遠也。」を朗誦しました

今年の芸術鑑賞会はJAZZ!

毎年、創立記念日に合わせて開催される芸術鑑賞会。ここ数年は、演劇の年、音楽の年、古典芸能の年と3年サイクルで数種類の芸術に触れることができるようにしています。

今年は音楽の年。高校生にとってはふだん触れることが多くはないと思われるジャズを鑑賞しました。

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音楽の合間に、ジャズの歴史を解説していただいたり、本校校歌のジャズバージョンの演奏があったり。ピアノソロあり、ボーカルありとおなじジャズでもさまざまな演奏に触れることができました。

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熱のこもった演奏や呼びかけに応え、生徒たちもノリノリで演奏を楽しみました。

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韓国訪問交流 最終日

Wake”恕”upプログラム、韓国訪問最終日。

午前は宿泊地である大田(テジョン)広域市から約2時間の移動で、景福宮(キョンボックン)を訪れました。景福宮は1395年に李成桂によって置かれた朝鮮王朝の王宮で、王が生活をしながら臣下と政治議論を交わした場所です。

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現在、景福宮はその元の姿を取り戻すために1991年から始まった復元事業の真っ最中で、2025年には王宮が最後に完成した1868年当時の姿を再現する予定だそうです。

ガイドのムンさんの配慮でホテルの出発時間を早めたおかげで、10時からの王宮守門将交代儀式を見学することができました。朝鮮時代の王宮で門の開閉や警備を担った守門軍(スムングン)の交代儀式を再現したものです。儀式の開始を知らせる太鼓が鳴ると、交代守門軍が出発し光化門(クァンファムン)に到着、次に守門軍が門の外に移動し、身元確認するための暗号を互いに問答しあいます。そして、守門将の号令で配置し太鼓の合図で互いに交代し退場します。華やかさと格調ある雰囲気で儀式は進んでいきました。

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「景福」は「詩経」に出てくる言葉で、王とその子孫、すべての人民が太平の御代の大きな幸せを得ることを願う、という意味。自然に依拠して家を建てるという韓国人従来の考えが反映され、風水地理を考え、山の形態や水の流れを考慮し、ソウルの代表的な山である白岳山の麓に置いたと言われています。建物と景色がよく調和して、季節ごとに韓国らしい姿を映し出している名園としても有名です。

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次に明洞(ミョンドン)で約1時間の自主活動。ここは日本人観光客に人気の高いスポットの一つで、日本語が通じるお店も多く日本語の看板も見られます。若者が多く日本の原宿や渋谷にとても似ています。生徒はお目当てのお店へ、教員はガイドのムンさんおすすめのスイーツでホット一息…癒しの時間を過ごしました。

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今回の訪問で、生徒たちはたくさんのことを学び、視野を広げることができたと思います。沃川高校の生徒の皆さんの情熱、好奇心、そして何よりお互いにわかり合いたいという探求心に心を打たれたことでしょう。それは生徒だけでなく引率した教員も同じと思います。心が揺り動かされているたくさんの場面を間近に見ることができました。

国を超えてもUNESCOの理念を実践するASPnet校同士、若者同士がどのように学びあえるかという可能性を確かめ合うことができた貴重な3日間、この経験をアジアの平和文化の共有に発展させていきたいと思います。